- 2024年11月28日
- 2025年1月31日
四則演算と数の拡張、割り算はなぜひっくり返してかけるのかとちょっとだけガロワ理論、代数学のさわりなど
四則演算と数の拡張、割り算はなぜひっくり返してかけるのかと、ちょっとだけガロワ理論、代数学のさわりなど
まず結論から・・・
私たちは小学校で加減乗除の四則演算を習います。
マイナスの数を習うのは中学校に入ってからです。
分数は小学校でも習います。
中学校の数学ではマイナスの数を足すということを習います。また、割り算の記号を使わなくなり小学校で割り算だったものは掛け算で表すようになります。これは次のことを意味します。
まず、四則演算が二則演算になって、計算方法の数が減ったということです。
次に、マイナスの数を習うことで、正の数とゼロを拡張した数を習うということです。
逆数と四則演算の関係
集合論では、ある集合に含まれる2つの元を作用させて1つの元をだすことを二項演算といいます。
数を元としてみると四則演算は二項演算の実例になります。
大学で習うような高等数学というか、抽象数学では加法群と乗法群というものを習います。これは数でいえば足し算と掛け算のことです。
加減乗除のうちのこりの減と除についての群、減法群や除法群というものは習いません。
そういうことを意識してか中学校からの数学では引き算や割り算を使う機会が減っていきます。
逆減と逆数
負の数をならうと引き算が必要なくなり、全ての引き算は足し算に置き換えることができます。
その代わり数学にあらたに「負の数」というものを導入することになります。
四則演算や二項演算の観点から見れば負の数というのは加法、すなわち足し算における正の数の「逆数」というものになります。
数を集合論の元としてみると「逆元」というものになります。
群の構造を持つ集合に零元というものを設定します。
群の構造を持つというのはここでは群のすべての要素が二項演算が可能であることとします。
すると足し算では「0」が、ちょうどよい零元になります。
2項演算で計算すると0になる場合、両者は自分に対して逆数といいます。
例えば足し算で6の逆数は6+(-6)=0なので-6です。
同じ理由で-6の逆数は6です。
なんというか、中学数学では負の数を導入することで「引き算」という演算を怖い言い方をすれば殺しに来ています。
割り算と分数
小学校では割り算も分数も両方習います。
逆数という言葉も習うかもしれません。
割り算も群や、二項演算の考え方を応用すると掛け算と統合してなくしてしまうことができます。
引き算の場合は、引き算を足し算に統合して引き算をなくしてしまうのと同じようなことができます。
掛け算では加法の零元や足し算の0に相当するものは「1」の数字になります。
2つの数字をかけて1になるなら掛け合わせる1つの数字の片方は他方に対する逆数ということになります。例えば6×(1/6)=1ですから、乗法では6の逆数は1/6になりますし、1/6の逆数は6になります。
割り算の場合は中学に上がった時に割り算を掛け算に統合して掛け算だけにするために新しい数を導入する必要はありません。
分数がすでに小学校で教えられているので分数を使えば新たな数を導入しなくても割り算をなくしてしまえます。
見方の問題
割り算をするときに割る数をひっくり返してかけるというのは理屈としてわかりにくい場合があります。
小学校での教育では、分数という数はあたかも当たり前に存在しているように教えられます。
そして、しばしば、なぜ割り算するとき割る数をひっくり返してかけるのかは、理屈で教わらないことがあります。
そもそも理屈で教わるよりは暗記することとされることの方が多いかもしれません。しかし違う見方をしてみましょう。
教える順番を変えてみる場合を考えてみましょう。
引き算と同じ順番で教えます。
小学校で分数を教えず、割り算は商と余りを出す方法、あるいは少数を使って表す方法だけを教えていたとしましょう。そして中学で分数という新たな数を教えるとします。
これは引き算とマイナスの数を教える順番と同じ順番です。
そうすると分数という数は割り算を簡単にする、そして数というものを簡単に表すとても便利な数の導入ということになります。
少数で分数と同じものを表すことはできるでしょう。
分数の分母と分子が自然数だとすれば、すべての分数は正の循環小数で表されますし、あらゆる正の循環小数は分母と分子が自然数の分数で表すことができます。
しかし、大変煩雑で不便な場合が出てくるでしょう。
数を作るという発想
現代の高等数学では数は作られるものという発想をします。
数は作ることができるという発想もします。しかし数を作る方法はいろいろです。
ある方法ではすべての数を作ることができるかもしれ場面が他の方法で作れる数はそれとは違う数であったり、別の方法で作ることができる数の本の一部だけだったりするかもしれません。
数を作るいろんな方法を考えるのが現代数学の一つのテーマです。
それとともに「数とは何か」という疑問を考えるのも現代数学のテーマです。
代数方程式の解と数
中学校で方程式を習います。
方程式の解き方というのが中学数学のテーマです。
高校で習う数学はそれに加えて方程式が解けるかどうかを習ったり、方程式が解ける条件を習ったり、方程式を使って新しい数を導入することを習ったりします。
「多項式を解く」これは数学の大きなテーマです。例えばある種の数は方程式の解として表すことができます。そうすると「方程式によって新しい数が作れるのではないか?」という発想がわいてきます。
実際方程式の解としていろいろな数を表現したり作り出したりすることができます。
- 「X+2=0」という方程式で-2という負の数を作ることができます。
- 「X×2=1」という方程式で1/2という分数、あるいは0.5という少数を作れます。
- 「X²=2」という式で±√2という無理数をつくれます。
- 「X²=1」という式で±√-1という虚数を作れます。
- 「X²-2+2=0」という式で1±√1という複素数を作ることができます。
その結果数学の新しいテーマとして「すべての方程式は解をもつのか?」とか「方程式が解けるための条件」とかいう問題を思いつくことができます。また「ある種類の数はどういう条件下で代数方程式の解となるか」や「ある数を解とする代数方程式の形」などが研究テーマとなります。
これは軽く「近代代数学の歴史」としてみることができます。
その過程でガウス、アーベル、ガロワなどが出て現代代数学を構成していきます。