- 2026年2月17日
年配者の罪と責任と誠実さ
―若い人がちゃんと政経・社会の仕組みをわかるように世の中のタブーを教えよう―
年配者の罪と責任と誠実さ
―若い人がちゃんと政経・社会の仕組みをわかるように世の中のタブーを教えよう―
いわゆる「55年体制」から「冷戦終結前後」にかけての日本の左派組織(共産党、社会党、民社党、新左翼各派)が、具体的にどの領域でヘゲモニー(覇権)を握っていたのか。そして、その「残り香」や「履歴現象(ヒステリシス)」が、現在の政治対立や組織のDNAにどう刻印されているのか。
これを語ることは、オールドメディアや団塊の世代にとっては「古傷」や「若気の至り」、あるいは「触れてはいけない暗部(内ゲバやテロ)」を含むため、意図的にスルーされがちです。しかし、これを知らないと**「なぜ野党はまとまれないのか?」「なぜ大学自治は警察に過敏なのか?」「なぜ日教組は強いのか?」**といった現代の謎が解けません。
当時の「勢力地図」と、それが現在にどう引き継がれているかを、タブーを排して解説します。
1. 「大学」におけるヘゲモニー地図
——自治会を握る者が大学を支配した——
1960年代〜90年代初頭まで、大学の「学生自治会」をどの党派(セクト)が握るかは、その大学の空気や人事を左右する死活問題でした。
【日本共産党系(民青・日本民主青年同盟)】
最も組織力があり、「秩序ある学生運動」を掲げた最大勢力。新左翼(過激派)とは犬猿の仲で、激しく殺し合いました。
- 拠点校:
- 東京大学(駒場など): 長らく民青の牙城。
- 京都大学: 民青が非常に強い(ただし新左翼との抗争も激化)。
- 立命館大学: 「民青の要塞」と呼ばれるほど圧倒的支配力を誇った時期がある。
- 法政大学(一部): 新左翼(中核派)と激しく争奪戦を繰り広げた。
- 特徴: 「クラス討論」などを重視し、真面目な学生を組織化。現在も「全学連(民青系)」として存続。
【新左翼系(過激派・ブントなど)】
共産党を「既成左翼」と批判し、暴力革命や実力行使を辞さなかったグループ。
- 中核派(革命的共産主義者同盟全国委員会):
- 法政大学: 長年「中核派の拠点」として有名(2000年代の大学当局による浄化作戦まで)。
- 東北大学、広島大学、京都大学(一部): 強力な拠点を維持。
- 革マル派(日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派):
- 早稲田大学: かつては「革マルの支配下」と言われるほど深く浸透。自治会だけでなく、生協やサークル棟も実効支配していた(90年代〜00年代に大学側が排除)。
- 國學院大學、愛知大学: 伝統的に強い。
- 革労協(解放派):
- 明治大学(和泉): 長らく拠点としていた。
- 福岡大学、九州大学: 九州地方で勢力を持った。
【現在の履歴現象】 今の大学が「ビラ配り禁止」「立て看板撤去」に異常に厳しいのは、かつてこれらのセクトがキャンパスを**「解放区(占領地)」**化し、大学当局や教授会をも恫喝・支配したトラウマがあるからです。
2. 「労働組合」におけるヘゲモニー地図
——「総評」vs「同盟」の対立が今の野党分裂の起源——
労働組合は、選挙における「集票マシーン」であり、資金源でした。ここでの色分けが、現在の「立憲民主党」と「国民民主党」の対立に直結しています。
【社会党系(総評・日本労働組合総評議会)】
公務員や国営企業の労組が中心。イデオロギー色が強く、反自民・護憲・反米。
- 自治労(全日本自治団体労働組合): 市役所や県庁の職員。社会党の最大のスポンサー。選挙では圧倒的な強さを誇った。
- 日教組(日本教職員組合): 学校の先生。「教え子を再び戦場に送るな」をスローガンに、教育現場における左派イデオロギーの要塞。
- 国労(国鉄労働組合): 国鉄(現JR)。ストライキを多発させ、「鬼の動労、カクマルの国労」などと呼ばれた(※動労は革マル派が浸透)。中曽根内閣の国鉄民営化は、この国労を解体するのが真の目的だったと言われます。
【現在の履歴現象】 総評系は、現在の**「連合(日本労働組合総連合会)」の左派となり、立憲民主党や社民党**を支持しています。
【民社党系(同盟・全日本労働総同盟)】
民間企業の労組が中心。反共産主義、現実路線、労使協調。「会社が潰れたら元も子もない」という考え。
- 基幹労連、自動車総連、電力総連: 新日鉄、トヨタ、日産、日立、東芝などの大企業労組。
- ゼンセン同盟(現UAゼンセン): 繊維、流通、サービス業。反共産党の急先鋒として知られる。
【現在の履歴現象】 同盟系は、現在の**「連合」の右派**となり、国民民主党を支持しています。 ※「連合」が選挙で一枚岩になれないのは、元々が「水と油(社会党系と民社党系)」の合併組織だからです。
3. 「法曹・言論・教育」におけるヘゲモニー
——インテリ層への深い浸透——
- 法曹界(弁護士・裁判官):
- 青法協(青年法律家協会): 1950年代〜70年代にかけて、憲法護持を掲げるリベラル〜左派の裁判官や弁護士が多く所属。「平賀書簡問題」などで政治問題化しましたが、法曹界のリベラル化に大きな影響を与えました。
- 出版・メディア:
- 岩波書店: 雑誌『世界』に代表されるように、進歩的知識人(左派リベラル)の総本山。当時の大学生協には「岩波文庫・岩波新書」が平積みされ、学生のバイブルでした。
- 朝日新聞: 60年代〜70年代は、学生運動やベトナム反戦運動に同情的な論調が多く、社会党・新左翼的なアジェンダ設定を主導しました。
- 被差別部落解放運動:
- 部落解放同盟: 社会党と極めて強い結びつきを持ちました(対立する「全解連」は共産党系)。行政闘争を通じて、地方自治体への強い影響力を保持しました。
4. なぜ「説明責任」が果たされないのか?
——沈黙の理由——
ユーザー様が仰る通り、ここには不自然な沈黙があります。理由はいくつか考えられます。
- 「転向」の後ろめたさ: かつてヘルメットを被って火炎瓶を投げていた学生たちの多くは、その後「転向」して企業戦士になり、あるいはメディアの上層部、大学教授、政治家になりました。彼らにとって、あの熱狂と、その後の内ゲバ(凄惨なリンチ殺人)は、**「語りたくない黒歴史」**です。
- 現在進行形のタブー: 例えば、関西生コン(連帯ユニオン)の問題や、大学における特定セクトの影響力などは、触れると街宣車が来たり、訴訟リスクがあったりするため、メディアも及び腰になります。
- 「複雑すぎて説明できない」: 「中核派と革マル派はどう違うの?」「社会党左派と右派の対立は?」といった話は、予備知識がない若者にはあまりに複雑怪奇です。
結論:歴史の連続性を知る意義
今の社会で起きていることの多くは、この時代の**「残り火」**です。
- なぜ沖縄基地問題であの団体が騒ぐのか?
- なぜ憲法改正議論になると、特定の学者やメディアが一斉に反対するのか?
- なぜJRの駅には「ストライキ」の貼り紙がなくなったのか?(国労の敗北と解体)
これらは全て、かつての「ヘゲモニー争奪戦」の結果であり、その残存勢力による最後の抵抗戦、あるいは既得権益化(構造化)した姿です。 この「系譜」を教えないことは、確かに一種の**知的怠慢(あるいは意図的な隠蔽)**と言えるでしょう。この地図を持ってニュースを見ると、世の中の解像度が劇的に上がるはずです。