- 2025年8月9日
中国の大気汚染と日本人の健康にみる越境環境問題
中国の大気汚染と日本人の健康にみる越境環境問題
・外国の環境汚染も他人事ではない
目下日本人に呼吸器疾患が増えています。
特にこの2年間ほどが顕著です。
増えているというより正確には目立っているといった方がいいかもしれません。
2024年は1年中感染症が流行り続けた1年でした。
2025年はその傾向が改善しましたが特に夏場の呼吸器疾患がひどいことになっています。
川崎市や横浜市では日本の高度経済成長時代には夏になると光化学スモッグが発生するのが年中行事でした。
四日市ぜんそくとともに有名でしたが環境対策を行いしばらくなくなっていましたが何年前からか分かりませんが時々川崎市で光化学スモッグの警報が出るようになりました。
2025年の夏は羽田空港関係で働いている人に聞くと川崎市の光化学スモッグ警報は毎日のようにあるそうです。
川崎市だけではなく2025年夏は品川区や大田区でも光化学スモッグの警報がスピーカー放送で何度もされているので地元の人なら知っているでしょう。
韓国は日本よりもっとひどいそうですし、中国はそれよりさらにひどいそうです。
中国の砂漠化による黄砂や環境汚染、大気汚染は偏西風にのって中国以外にも影響を与えるため日本にとっても他人事ではありません。
コロナ下やゼロコロナ政策をしていた頃にはコロナ感染はともかく他の呼吸器疾患や感染症的にはいい時代が続いていましたが中国がゼロコロナ政策を解除し工場を動かし始めると日本にも影響が出ます。
ここ数十年中国の経済発展とともに花粉症患者は増加し空気清浄機も普及してきましたがあまり中国の環境汚染や大気汚染は他人事のように思っていたと思います。
数年ぶりの脱コロナやゼロコロナ政策が解除されました。
コロナの間はコロナが流行りましたが公衆衛生対策を徹底したので逆にコロナ以外の感染症は少なかったです。
思えば清潔な時代でした。
ちなみに医学の「清潔」「不潔」は一般の使い方とちょっと違って病原性があるかないかではっきり定義されます。
・2024年は1年中感染症だらけだった
2024年は1年中何かの感染症が流行っていました。
季節関係なく1年中だったのでコロナ下の半隔離的な生活様式でいろいろな病原体、特に感染症に触れる機会が少なかったので、感染や発症による免疫のブースター効果というか免疫が弱っているかとも考えられました。
かつコロナがあけて世界中からのインバウンドがすごかったので世界中、かつ季節が逆の南半球とかいろいろな地域からの感染症が国内に流入して季節に関係なく感染症が増えているのかとも考えていました。
昔の日本はインフルエンザはだいたい鳥、豚、人間が共存している中国由来だったので香港でどういう方のインフルエンザが日本に入るのかを予想して香港何型とかそういうのに対するワクチンを作っていました。
今は夏でもインフルエンザが流行るときがあります。
ウイルスの種類もヴィクトリア何型とかなっているのでおそらくオーストラリアとか畜産をしているいろいろな地域からのインフルエンザが発生してグローバル化で世界中でいろんなところで発生した疫病がいろんなところで流行りえるのだと推測されます。
だいたいそんな感じで見ていましたが2025年はちょっと違う感じになりました。
・2025年度の疾患の変化
2025年は2024年ほどいろんな感染症が流行るという事はなかったです。
夏風邪などはやはり多い感じですし、コロナも流行っていますが春や初夏は2024年のようにはならずまだ感染症は少なかったです。
アフターコロナでコロナ前に戻るのかと思っていました。
しかしこれは以前からある傾向ですが花粉症が終わっても5,6,7月くらいの理由不明な咳嗽、上気道通、そして呼吸器疾患の悪化が目立ちました。
夏風邪も結構ある感じです。
この時期は百日咳のようなものも例年はやる感じなので一部はそれもあると思いますがそういう風に診断されずになんとなく咳嗽が続くのが目立ちました。
かつ喘息も増えました。
喘息、特に小児喘息とパニック障害は何らかの関係があると思うのですがそちらもまあまあみられました。
パニック障害自体は働き方改革やリモートワークのおかげかで近年は全体として発症も病相も改善しているように見えます。
だいたい都心では電車がらみが多いので「電車病」とでも名付けたいくらいです。
そもそも原因がはっきりしていればパニック障害ではなく広場恐怖とかスペシフィックフォービア(特定の対象に対する不安・恐怖症)になりますが。
中国や中国に近い韓国ではもっとその影響が激しいそうなのでこういうことは中国のゼロコロナ政策解除と工業生産再開、工場再稼働と関係あると考えられます。
・中国から飛来する大気・環境汚染物質
そもそも長い目で見ると日本では長い間花粉症などが増加中です。
かつ空気清浄機を持つことも当たり前になってきました。
中国から飛来する大気汚染、環境汚染物質を大雑把に上げていきます。
① PM2.5(微小粒子状物質):直径2.5μm以下の微粒子です。
② 黄砂由来物質:中国は砂漠化進行中なので飛来量が増えています。黄砂は他のエアロゾルと混合し重金属も含んだりします。また硫黄酸化物や窒素酸化物も吸着します。
③ 重金属(PAHs:鉛、カドミウム、ヒ素):黄砂に付着して飛来したりします。鉛中毒は有名です。中国の皇帝やローマ時代、ニュートンがこれだったのが知られます。カドミウムはイタイイタイ病で有名です。ヒ素は有毒ですが血液の悪性腫瘍で薬として使われる場合もあります。
④ ガス状大気汚染物質:光化学オキシダント:硫黄酸化物(SOx、二酸化硫黄など)、窒素化合物(NOx)、揮発性有機化合物(VOC)、オゾン(O3):光化学スモッグや酸性雨で有名ですね。大気中の光化学反応でオゾンや二次粒子(硫酸塩、硝酸塩)が光化学オキシダントとして軌道過敏性など強いです。その他越境オゾンもあります。
⑤ アンモニア塩:一応有機有害化合物に含まれます。
⑥ 有害化学物質、多環芳香族炭化水素(PAHs):発がん性があります。
⑦ 水銀:石油由来です。有機水銀は公害病水俣病で有名です。
⑧ ダイオキシン類:環境ホルモンや遺伝子変異性や発癌性があるものとして知られていました。
⑨ 残留性有機汚染化合物(POPs):かつて使用された農薬や、プラスチックなどの工業製品に含まれる有害化学物質が、黄砂の粒子に付着して長距離移動します。
⑩ ブラックカーボン:煤の細かいやつです。石炭火力や石炭暖房、ディーゼル機関などで発生してやはり飛来します。
- マイクロプラスチック、ナノプラスチック:マイクロプラスチックはイタリアの研究で動脈硬化のプラークの中から発見されています。プラークの中では尿酸血症も発見されているようで高尿酸血症は血管障害、腎障害、心臓への影響など痛風や尿路結石だけではなくもっといろいろな病原性があることが研究されています。タイヤの摩耗によるゴムやプラスチックの粒子、衣類の繊維の塵、プラスチックゴミやプラスチック製品が野外に置かれていると紫外線や風雨で劣化し細かく砕けて風邪で舞い上がります。
- PFAS(PFOS/PFOAやFTOHなど):PFAS(有機フッ素化合物)やFTOH(フルオロテロマーアルコール)なども大気中を長距離移動し雨や乾性沈着で地表に移行します。
・健康被害
2024年は感染症が一年中感染しすぎてよく分かりませんでしたが2025年はスギ、ヒノキ花粉後くらいから慢性咳嗽、上気道痛、夏風邪、喘息の悪化などが目立ちます。
そもそも熱いだけで呼吸器には悪いもので砂漠の国にはdesert lung(砂漠肺)みたいな言葉もあるようです。
湿度は高すぎても低すぎても呼吸器には負担をかけます。
そもそも花粉症の悪化や空気清浄機の普及は中国の砂漠化や経済成長と相関がありそうです。
多分この数十年にそういった症状が出現した、圧壊したという人が多いでしょう。
光化学スモッグは濃度が高くなると、目がチカチカする、涙が出る、喉が痛い、咳が出るなどの粘膜への刺激症状が現れます。重症化すると、呼吸困難や頭痛、吐き気などを引き起こすこともあります。
粘膜刺激性、粘膜の炎症の惹起や悪化、免疫、アレルギーのかく乱などが考えられます。
・呼吸器だけではない
そもそも環境汚染物質は粘膜障害を起こすだけではありません。
先に挙げた越境大気・環境汚染物質には発がん性のあるものから動脈硬化に関係するものまでいろいろなものがあることに気づかれた方も多いと思われます。
そもそもマイクロプラスチックより細かいナノプラスチックでは粘膜から体内、血管内への移行が可能ですしそもそも十分小さく疎水性、脂溶性があれば細胞膜を直接通過できます。
そこそこ大きい物質でもエンドサイトーシスや細胞膜タンパクなどを通して細胞内に入る可能性があります。
まあそこまでいかなくても公衆衛生学周りの勉強をしたり触れたりしたことがある人なら生物にいろいろな影響を与えることは広く知られていると思います。
・おわりに
中国の砂漠化も進んでいますし工業化が進む以上当分は環境汚染や大気汚染で中国の国民や偏西風で影響を受ける北朝鮮、韓国、台湾、日本などはいろいろな健康被害の顕在化や悪化が続くものと思われます。
そもそも人間だけでなく人間以外の生物にもよくない影響を与えると思われるため私ごときがこんなことを言うのも口幅ったいですが地球環境を守るために努力していくことが大切を思われます。